引っ越してから今までの事 床塗り&壁塗り編

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前回の記事にも書いたが、新居に引っ越してきた時点ではアトリエ部分は未完成の状態だった。
どれくらい未完成かと言うと、壁、床、天井が石膏ボードや構造合板などの下地材むき出しになっている状態、つまり仕上の塗装工事を一切していない状態、であった。

通常の家作りは、基礎屋さんが家の土台となる文字通り基礎部分を作り、その上に大工さんが骨格、屋根、壁、床、天井からなる家の本体を作る。その本体に水道屋さんが上下水などの水まわりを施行し、電気屋さんが配線やコンセントや照明器具などを取付け、サッシ屋さんが窓サッシをはめ、建具屋さんがドアやその他の建具を取り付ける。そして、最後に家の外壁と内壁を左官屋さんや塗装屋さんが仕上げて家は完成する(実際にはこれらの工事がほぼ同時進行的に行われる)。
家づくりは、大工さんを中心とした各分野の専門家たちからなる混合チームプレイなのだ。
で、その混合チームの監督が建築家であり現場監督である。

僕たちは、当初から「自分たちに出来るところは極力セルフビルドする」というスタンスで建築家さんにプランをお願いしていた。もちろん「少しでも安く作りたい」というのが主な理由なのだが、それと同時に「なるべく自分たちも家づくりに参加したい」という想いもあったのだ。と言っても、素人の僕たちに出来ることなどたかが知れている。相談の結果「外壁や内壁を塗るくらいなら出来るのでは」ということになった。実は、旧アトリエも自ら壁を塗ってリノベーションしたのだ。僕たちには壁塗りに関してちょっとした自信があった。だから、新居の壁塗りも「ぜひ僕たちにやらせて下さい」と申し出た。実際、塗装屋さんの日当は比較的割高なので、これをセルフビルドすれば全体の出費をかなり押さえることが出来るのだ。



ここで一つ。
外壁、内壁の仕上には様々な施工方がある。外壁はどのような素材で壁を作るかによって仕上方も変わってくる。古くは土壁や漆喰などの左官仕上げ。一昔前の住宅に多いのがモルタル吹き付け。あとコンクリート造りの住宅では憧れの打ちっぱなし仕上げが有名だし、全面タイル張りなんてのも洒落ている。最近の外壁材の主流であるサイディングには塗装仕上げ、またガルバリュウムなどの金属系サイディングには無塗装の張りっぱなしが増えているとか。
内壁は、個人住宅では一昔前までは壁紙というのが最も一般的な仕上方だったと思うが、最近ではシックハウスなどへの意識の高まりからか土壁・漆喰壁・珪藻土壁などの左官仕上げが見直され人気があるらしい。

我家の場合は、外壁は昔ながらの杉板の南京下見張り。木張りの家は永遠の憧れだ。実は、木を外壁に使うのは住宅の密集する都会では防火基準上まず不可能らしい。人里離れた田舎に建つ家の数少ない特権の一つだと思う。折角の木張りの外観なのだから米軍ハウス風にペンキ塗装仕上げを希望したが、建築家さんのアドバイスによりオイル塗装仕上げにすることにした。ペンキより家の湿度調節効果が高く、家が長もちするらしい。しかも、施工も楽なのだとか。
内壁は、安っぽい壁紙だけは絶対に避けたいと思っていたので、外国の家風に塗装仕上げにすることにした。居住スペースはシックハウス対策から珪藻土配合の塗料を、アトリエはなるべく健康を害さないタイプの塗料を選んだ。

ところで、同じ壁紙でも、欧米では無地の壁紙を貼って、その上から塗装するのが一般的な仕上げ方らしい。壁が汚れてきたら自分たちで何度でも塗り直すそうな。これは経済的にも優れているので、日本でも一般化される日が近いのでは・・・
でも、欧米の家づくりは基本的にセルフビルド精神が当たり前だそうだから、忙しい日本人にはなかなか受け入れられない文化なのかも知れない。

さて、外壁塗装は引越し前に無事終了していた(この件は後日改めて書きます。壁塗りを手伝って下さったみなさん、本当にありがとうございました)。
しかし、この外壁塗の経験から、内壁を全部自分たちで塗るのは時間的にも体力的にも、また技術的にも絶対に無理だろうと判断した。そこで急遽予定を変更、居住スペースはプロの塗装屋さんにお任せし、アトリエだけを自分たちで塗装することにした。

あ、でも床は別。床に関しては居住スペースも自分達で塗ることにした。我家は床材に無垢のバーチ(しかも敢えて無塗装のモノ)を張ってもらったので、何らかの塗装が必要だった。居住スペースの床は引越し前に半分、引越し後に残った半分を塗ることになった。と言うのも、引っ越し荷物を置いてしまうと床が塗れなくなる。とりあえず一旦荷物を置いておくスペース分だけはなんとしても引越し前に塗っておかなければならなかったのだ。塗料が乾く時間を計算し、引っ越のぎりぎり2日前になんとか予定分を塗り終えることが出来た。今回、我家の床には建築家さんの薦めでドイツの健康塗料メーカー・リボスの『アルドボス』という無色のオイルを奢った。実はこのオイル、プロに施工をお願いすると結構高価なモノになるのだが、セルフビルドすれば塗料代の実費でだけ済む。僕たちのように少ない予算でもどうにか手に入れることが出来た。幸いこのオイルは無色だし、オイル系塗料の長所で木に馴染みやすく比較的簡単にムラ無く塗ることが出来た。
引っ越してから最初の数日間は残りの床塗りに没頭した。最初は艶の無かった無垢の木に滑らかな光沢が出てくるのは実に気持ちが良い。床塗は容易さの割に満足度の高い作業だと思う。お薦めです。
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床塗も無事終わり、次はいよいよアトリエの壁塗り作業だ。段取りは次の通り。
まずは下地づくりから。石膏ボードのV目地(ボードとボードの繋ぎ目のこと)に専用のファイバーテープを貼る。次に目地埋め用のパテで先ほど貼ったファイバーテープの上からV目地とネジ穴を埋める。パテは一度塗では痩せるから最低でも2回は塗れとのこと。素人の僕は結局3回塗りをした。部屋の角や窓の縁などのコーナー部分にはコーナー用のジョイントパーツを貼って、こちらも丹念にパテで埋める。埋めるというよりはパテを盛って隠すという感じ。パテを盛ったら、今度はそのパテを平面が出るようにヤスる。もうただひたすらヤスる。この作業が実に辛い。部屋中に粉塵が舞い、防塵マスクをしていても鼻の穴が真っ白になる。こんなこと毎日してたら確実に寿命を縮めると思った。そして、やっとの思いで下地づくりが終わったら、次にパテの粉を綺麗に掃除し(なんせ部屋中粉塵だらけですから)、塗りたくない部分を養生&マスキングする。この養生の良し悪しによって最終的な仕上が格段に違うから、ここは丁寧に慎重に養生する。

フー、ここまでに何日掛かっただろうか?以前、旧アトリエの壁を塗った時は古い塗装の上に新しい塗装を直に塗った。正直、壁塗りなんてそんなもんだと思っていた。ところが、実際には塗装前にこれだけの作業が必要だったのだ。塗装屋さんの日当が高い訳だ。しかも、この下地が最終的な仕上を左右すると言うのだから、手を抜くことは出来ない。今回の作業で学んだことは「壁塗りとはその8割が下地づくりなのだ」ということ。何ごとも下地づくりが大切なのだ。
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全ての養生が済んだら、いよいよメインイベントの壁塗りだ。今回選んだ塗料は日本ペイントの『エコフラット70・白』。エコフラットは室内用塗料の定番商品らしい。施工性も良く、低価格でおまけに低ホルムアルデヒドを売りにしている。これをシンプルにローラー仕上げする。イメージではギャラリーのような真っ白な空間に仕上がるはず。しかし、白は色痩せするからこれも最低2回は重ね塗しないといけない。ちなみに素人の僕は塗装もやはり3回塗しました。

普通はここで完成なんだけど、アトリエの床は構造合板貼りっぱなし状態なので、このままではかなりショボい。何か適当なペンキで塗装することにした。床用ペンキは各社から出てるけど、どれも暗めの色ばかり。まあ、床は汚れやすいから、明るい色に塗る人も滅多にいないのだろう。けれど、僕たちは思いきって白系の色で塗ることにした。部屋中真っ白にする魂胆だ。地元の塗料屋さんに相談したところ、東日本塗料の『水性フロアー』ならカラーチャートで調色してくれると言う。僕たちは白に少量のイエローが混じったミルキーホワイトに近い色を選んだ。待つこと2日間、希望通りに調色された塗料はなぜかプロっぽくて嬉しい。床塗りの前に、折角塗った壁を汚さないようにやはり丁寧に養生する。そしてローラーで床を塗装。構造合板は木目が荒くペンキのヤセが激しいので、結局これも3回塗した。
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そして、遂にアトリエが完成した!!真っ白い壁に、白い床!!我ながら美しい仕上がりにウットリしてしまう。自分を誉めてあげたい気持ちで一杯だ。

しかし、これだけでは終わらない。我家には2つのアトリエがある。一つは僕の絵画用アトリエ、もう一つは妻の陶芸用アトリエ。下地づくり作業をはじめて直ぐ「これは相当時間が掛かるぞ」と直感した。そこで、まずは妻の陶芸用アトリエを優先的に仕上げることにした。その理由は、旧アトリエに置きざりになっている荷物は電気窯を筆頭に妻の陶芸関係の品が圧倒的に多く、これを一日でも早く引き上げたかったからである。旧アトリエの大家さんはご好意で「5月中は荷物を置いといても良いよ」と言って下さったのだが、そうは言ってもタダで置かせて頂いているのも気掛かりなもの、僕たちはアトリエの引越しを5月の中頃と決めた。なんとかこれ迄に妻のアトリエを仕上げたい。妻の荷物さえ運んでしまえば僕の荷物はそれほどの量ではない、最悪、完成した妻のアトリエに一時保管しておいても構わない、そう思った。連日の必死の作業の甲斐あって、妻のアトリエはなんとか予定よりちょい遅れの5月15日に完成した。
そして、5月21日、旧アトリエから全ての荷物を運び出した。これで我家の引越しが完全に終わったことになる。大家さん、長いことありがとうございました。

さて、次は僕のアトリエだ。う〜、またこの一連の作業をイチからやり直すのか・・・
妻のアトリエで体力も気力も消耗しきった僕が自分のアトリエを完成させたのは、結局、ほぼ一月後の6月16日のことだった。
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by fujiyama67 | 2006-07-18 15:13 | 引っ越してから


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